紹介

固体の表面は、分子・原子と固体の相互作用が生ずる特殊な2次元空間です。 そこで生ずる現象では、気相中の分子や固体(多くは結晶)の中とは異なる取り扱いが必要となります。

このような「表面」の特殊な環境を生かして、

の解明・開発を目指しています。
これらの目標達成のために 実験理論計算を通じて、以下のような次世代素子の礎となる現象や新材料の開発を行っています。

電子状態の計測と制御 Controls and identification of electronic states

ナノ構造作成、光電子分光(PES)、走査トンネル分光(STM)、超高速光計測(ultrafast optics) .... 表面に局所的に現れる電子状態、超芳香属分子や機能性分子の表面吸着物質の電子状態や、トポロジカル絶縁体や磁性ナノ構造や不純物状態のスピン計測などを行っています。
 分子性の半導体や原子スケールの磁気構造などを目指して行われている多くの研究のうち、 電子状態を光電子分光法(PES; UPSやMAES)や走査トンネル分光(STM)などの手法で計測しています。 化合物半導体の創製と電子状態制御、機能性表面の活性化、触媒の促進・制御などの分野で 2次元に特有な物性を展開します。
 またレーザー光などを用いて、励起状態の計測、スピンの制御・弁別、表面の分子のナノ〜フェムト秒(10-9--10-15s)スケールの超高速測定を行っています。これらの結果からは光吸収による電子の励起エネルギーの緩和・散逸や、吸着物間相互作用や欠陥導入による電子状態の変調などが判ります。

顕微観察 Microscopic observation

ナノ構造観察、走査トンネル顕微鏡(STM)や光電子顕微鏡(PEEM)... 走査トンネル顕微鏡(STM)や光電子顕微鏡(PEEM)などを利用して原子スケールからミクロンスケールの構造や電子状態を計測し、原子・分子の配置を明らかにして、分子や原子の結合形成や電子状態を議論します。低次元やナノスケール構造に特有な現象を明らかにすることで、機能性材料や触媒反応、超高密度記憶素子などの基礎原理を実証します。特に、励起源にレーザーを用いてスピン状態を弁別したり、励起中性原子を利用することで真空に浸み出しているナノスケールに特有の電子を計測する事を特徴としています。

電子状態計算 Electronic state calculations ab initio

第一原理計算: 局所状態、バンド分散、原子分子動力学... 表面に代表されるナノスケールや低次元系の電子は、分子・原子の孤立系や、結晶などの周期構造とは異なる手法で電子状態を議論します。そのために工夫しながら第一原理による電子状態計算を行っています。不純物や表面に固有の電子、或いは 分子配列やナノ構造、磁化などを予測したり、実験結果の解釈を行います。また、生体分子が特定の受容体に結合する際の電子状態変化や、電子状態の変化に基づいた動的過程(表面反応や原子の振動など)の追跡のシミュレーションも行っています。

研究室配属

大学院では 工学府・物理情報工学専攻 物理工学コース に属しています。
大学院で当研究室で研究したい方は 入学案内頁へ。

理工学部では 数物・電子情報系学科物理工学教育プログラム の学生が研究に励んでいます。

ゼミ等は、表面物理グループとして大野真也 研究室および固体・分子理論研究室と合同で行って、ナノスケールでの新しい現象や低次元の新規物質について議論を行っています。